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一番怖いのは風

 冬山の気象を智特徴づけるものに次の4つの要素があります。
風、寒さ、雪、そして日照時問の短さです。

これらの要素が冬山を厳しくもし、難しくもしているのですが、中でも一番恐ろしいのが風だと思っています。寒さがそれほどでもないときでも、風は体感温度を下げ(体温を奪う)、降雪がなくても地吹雪を巻き起こして風雪と変わりない状態をつくり出してしまいます。

 風が弱ければ、かなりの低温でも降雪でも、それなりの行動がとりやすいのですが、風が強いときはそれだけで士気をくじくのに十分です。

短い日照時間

 日照時問の短さは、登山をするうえからは大きな制約を受けます。夏なら朝の5時前から夜の7時過ぎまで明るく、1日をフルに使えるものも、厳冬のころは7時ころから夕方の4時半ごろまでししか昼間がありません。

 夏より4時間以上も日が短いということは、遅くとも午後3時ごろ、どんなに遅くとも4時には幕営地なりビバーク地を決定しなければいけないということを、示しています、時間のかかる雪洞掘りの場合はなおのこと、気に留めておかなければならないことです。

雪の恐怖

 大雪、という要素も軽視できません。冬山では一夜にして1mも2mもの降雪をもたらします。行動するにも、登りはもちろん下りでさえ、ふつうなら1時間の距離を2〜3日もかかるという状態を生み出してしまいます。

 ところで、冬の季節になると、「冬型気圧配置」という言葉をひんぱんに見聞きすることと思います。これは別名「西高東低型気圧配置」とも呼ばれますが、日本海側や山岳地帯では雪を降らせる典型的な冬の天候になるので、「冬型」と呼ばれるわけです。こうなったら要注意です。かならず大雪が降ってきます。

大雪を占う

 大雪を降らせるような、天候になる要素は主に次の2つです。ひとつは、西の高気圧と東の低気圧の気圧差が大きい時で、その差が50〜60ヘクトパスカルにもなったらもう強い冬型だと考えていいでしょう。これが時にはlOOヘクトパスカルを超えることもあります。




大雪を降らせる仕組み

 暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降します。シベリアからくる寒気団が、日本海を渡ってくるときにいっぱい水分を含むとともにかなり暖まった空気が激しい対流を起こして上昇します。

 上空で冷やされると水分を吐き出して、これが雪になるわけです。

 テレビ・ラジオの気象情報で「5500m上空に氷点下40℃の寒気が」などと寒気の流入が強調されるときは例外なく大雪となりますので、注意してください。

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