富士山へ行きませんか?

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富士山へ行きませんか?

 ある日、熱心な『風のたより』読者の福貴田昌計さんから手紙が届いた。
 御存知の方も多いとは思うが、福貴田さんは『風のたより』の大ファンで、今までに何度か月刊『風のたより』に投稿をして頂いたり、行事に参加されている。
 『風のたより』の行事に参加される方の中では最年長ではないだろうか。いつまでも 若いままの心の持ち主の方だ。
 それだけではない。多くの旅人に『風のたより』を紹介し、『風のたより』に投稿した方に対して、まめに感想を送って頂いている。
「ぜひ『風のたより』で富士山に連れて行ってほしい」
「一度挫折した富士山を『風のたより』の皆さんと一緒に登りたい」
 福貴田さん特有の赤線やら赤丸付きの手紙は、熱く語っていた。

富士山にて還暦祝い、助っ人お願します

 『風のたより』1月号、P16、「あなたの実現したい事を教えてください」妹尾さんの企画に実は94年の夏に家内が是非富士山に登りたいと、それでバスツアーに参加しましたが、途中交通渋滞で、8合目で仮眠する時間がなく
「山頂に登りたい人は、このまま登ってください」
と私達は8合目で仮眠し雨上がりの美しい御来光を見ました。また夜空に輝く星は近くで手に取れそうであの感激は一生忘れませんね。

 その時、30数名の中で若い人2名だけ山頂へ、それもぎりぎりの時間に帰ってこられました。私達には無理も無理でした。それ以後、テレビで時折り富士山が映ると必ず家内は
「頂上はどうなっているのか一度で良いから是非見たいね」
とそればかり言います。もう一度チャレンジしたいのですが、私にも体に自信なくその上に家内は言うばかりで私より体力はダメですね。
 例えば4年前の時も訓練のために大阪で一番高い山・金剛山1120メートル、普通の人で1時間10分程、それが家内は2時間、3回目でも1時間30分ほどで団体行動は無理ですね。それで以前から『風のたより』の皆様のお心として、お互い迷惑をかけ合うこともあり一番弱い人に助け合う精神(心)で常日頃行動を共にしましょう、と。

 今回、大いにその言葉に甘えさせて頂こう、昨年三苫かおりさん企画の和歌山ツアーに参加させて頂き、尚一層『風のたより』の皆様のお心の素晴らしさ、お人柄に接して、一生その時の良き想い出に酔うでしょうね。
 それで今回の私の実現、夢かもね、私達夫婦を富士山に一緒に登って下さるお方、
「よし助っ人してやろう、還暦祝いもしてやろう」
と賛同頂けるお人、ご協力宜しくお願します。その折り、この機会を最高にする為、その富士山頂上で『風のたより』大総会をやりましょうよ、大いに歌い踊り酔って満喫しましょうよ。人生は想い出づくりですよね。
 日時は、7月18日から20日、時間その他は土井さん妹尾さんスタッフ一同企画して頂けるそうなのでお聞き下さい。

 とにかく生きている限り自分の人生は自分で脚本を書き常に演出し必ず夢をもち、その夢を実現出来るように、日頃精一杯仕事も休日も頑張る。必ず頑張れるよね。50代、60代それ以上の人も『風のたより』と出会えて欲しいね。そしたら人生良い方に大いに変心するよね。
一度の人生、今を大切に生きないとね。ご両親様から授かった心身だもの。
「皆様、7月18日富士山に来てくれるかなぁ」
皆様の答
「いいとも」
決定!!
【福貴田昌計】 大阪府大阪市

「富士山の山頂で『乾杯』を大合唱したい。ぜひキーボードを持って来て下さい」
私宛の手紙には、そう書いてあった。

 かつて『風のたより』では富士山ツアーを3回出している。
「日本一の富士山に登るなら海抜ゼロから行かなければ」
と、田子の浦の海岸で水に足をつけてからの出発だった。

最初の1回は嵐のため途中で断念したが、次の時には無事に山頂まで辿り着き、 みんなで手を取り合ってバンザイをしたものだった。
御来光こそ見れなかったが、そんな物はどうでもいいほどだった。

「もう一度、田子の浦からの富士登山ツアーを出してほしい」
3回目の話が出た時、正直言って興味がなかった。既に田子の浦から登っている私としては、もう富士山に思い残す事はない。それよりも別の山に行きたい。だけど、「どうしてもやりたい」という熱意に負け、3回目の「海抜ゼロから富士登山」ツアーが決定した。 
 前と全く同じ事をするのは面白くない。どうせならプラスアルファをしないと。
 そうだ、富士山の山頂で演奏会をしよう! みんなで「風来坊」を歌おう!
(利尻グリーンヒルYHでは利尻島一周完歩を達成した人に対し、泊まりあわせた全員がギター伴奏で「風来坊」を歌って迎えるという伝統がある)
 私はキーボードを担いで登った。山の上で歌い、踊り、スイカ割りをして、みんなで喜びを分け合ったのだった。

 これで思い残す事はなくなった。もう富士山に登る事はないだろう。
 次に富士山に行くとすれば、「何か」がある時だ。
 できれば、人の手助けができるといいな。
 そう思っていた。

 そこに福貴田さんからの手紙。
「これだ!」
 そう思った。
 もう一度、富士山に登るキーワード。
「福貴田さんの夢を実現させ、富士山頂で福貴田さんの還暦祝いをしよう!」

 という訳で、皆さんも一緒に行きませんか?
 実は富士山は大変な山だ。ずっと砂だらけで景色は変わらない。日差しを遮る物が何もない。登山道は真っ直ぐ登れないほどの急登。標高が高いので夏でも寒い。極めつけは高山病になるなど、他の山にはない特殊な条件がある。
 はっきり言って、富士山に登るよりも、北アルプスに行った方が、山としてはどれほど面白いか分からない。
 だけど、人はなぜか富士山に登りたがるものだ。私の見ていない富士山からの御来光も素晴らしいものらしい。やっぱり「日本一の山」というのは伊達じゃないのだろう。

 夏の富士山は技術は必要ない。時間をかければ、頑張りさえすれば、誰にだって登れる。
 特に今回は、福貴田さんに合わせて、ゆっくりゆっくり登る。今まで山になんか縁がなかったという方でも誰でもOK。
 一緒に富士山に登りませんか? お待ちしています。
【土井健次】

富士山登頂を終えて・・・
富士山・福貴田さん還暦祝いツアー報告

還暦男、富士山で樽酒で乾杯!!

 大成功でした。心の中は夫婦で大爆発ですね。それも一生続くでしょう。『風のたより』で企画して頂き、心からありがとう。
全員36名が頂上に。これってすごいよ。
途中、高山病の人がどれだけいたか。流石富士山十数回の超ベテラン風さん。そしてスタッフの協力があったからこそ全員無事でした。
もう一つ大成功の原因がありました。曽原さんが背負う30キロ程の樽酒です。登山者から

「すごい」
その都度

「私の還暦を頂上で祝って頂くんです」
「おめでとう」
「おめでとう」

と何よりの励みになりました。愛息子(曽原君)の協力者も心からありがとう。頂上での乾杯!! 夫婦で泣きましたよ。
 百名山の上原さんも駆けつけてくれました。嬉しかった。今までの雨が日本一の富士山晴れ。『風のたより』には雨女はいないよ。
栗原さん、福田さんの作ってくれた祝い旗、欲しかった。ガキ大将の気持ちで書いて頂きました。

 手作りのTシャツ、そして20日の朝の9合目でのラジオ体操。そして還暦祝い。チャンチャンコの服の前に
「『風のたより』ありがとう!!」
と登場する。まず皆さんにお礼を。そして『風のたより』に感謝状を。その中に

「人生の旅の途中で『風のたより』と出会えた者にだけ一生心は青春ど真ん中で生きられる」

 皆さん、そう思いませんか? 世界にないオリジナルのテレホンカードを記念に受取って頂きました。使用後は“お守り”として必ず“福来た”となる様にお祈りします。

 全員見て感嘆の声が。お祝いのケーキ、愛娘・三苫かおりさんから、息子からプレゼントされたバイクのミニチュアが飾ってありました。帰宅して、

「すごい、これ笑うで大傑作」

と。外人さんも多く参加して頂き、頂上より良かった。

 その直後、自分の目を疑った。お母さんが外人さんの住所を書いてもらっている。そんなこと出来る人じゃないのに。皆さんから
「お母さん」
「お母さん」
と家内も一生酔うだろう。絶対に良い方に変化しました。童子になりこれを機会に第二の人生頑張ります。

 私達も昨夜は軽い高山病で頭痛でした。土井さんの心の優しさ、良き薬、そして愛娘の徳田さんからの“くずゆ”を夫婦でご馳走になりました。
 本当に以前より全快しましたよ。また愛娘もお遊戯がとっても上手なんだよね。
『風のたより』の愛娘、全て良いお母さんになる。
『風のたより』の息子たちよ、諺に“燈台下暗し”身近すぎて感じないのかなぁ。
『風のたより』の愛娘達は全て女性の名誉勲章の良き母になる要素を兼ね備えている。皆さんから、
「福貴田さんの夫婦いいなぁ」
と言って下さいます。私の人生で良かったらお礼に教えましょう。それは一生“素直な心”と“良い事は学ぼう”、そして結婚したら良いお母さん
を二人して育てて行く。これ一生の勉強です。

 今回最高は、2時間ほどのバス車中でしたね。“歌うしあわせ号”ガイドは博多美人のポッポ。運転手は日高さん。必ずバスで日本一周の夢を実現さそうよ。お祝いに、本、印鑑、手紙、テープ他、そして最高のプレゼントは36人もの素晴らしいお心でした。還暦祝いのバンダナを付け一生旅人で生きて下さい。『風のたより』の企画ありがとうございました。夫婦で合掌。
【福貴田昌計】

追伸

 結婚“乾杯”の祝電は次は誰かなぁ!! 還暦男は待っているで!!
 家内からも、「皆さんに大変お世話になりました。こんな楽しい想い出、初めてです」 皆さん、またお母さん呼んでやってくれるかい?
 全員、「いいとも!!」
 皆さん、元気で再会を。
『風のたより』 SINCE 1992.3.1 
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