たるたるたっる 富士山ツアー・樽 |
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たるたるたっる 富士山ツアー・樽「えっ〜!?」「富士山に樽かい?」 酒屋での第一声がそれでした。 酒屋に酒樽を買いに行った時の話です。 福貴田さんの還暦祝いに富士登頂を目指す! この話が持ち上がったときから、私は何かしてあげたい、一生の思い出になる事をしてあげたい、お祝いをしたい、集まった皆と一生の思い出に残る何かをしたい、そんな思いが頭に浮かんでいました。 しばらくして、富士山プロジェクトをスタッフで話し合う機会を設けたとき、いろいろな企画がその中で話し合われました。 ふと風さんが冗談交じりで言います。 「前回の富士山登頂ではスイカがあったなあ〜、何か今回も目玉がほしいところだな!」 「せっかく富士山に登るのだから、何かやりたいな!」 みんなで延々と考えます。白熱した議論? が交わされます。私も頭を巡らせましたが、なかなかよい発想が浮かびません。考え、話し合い、そしてどれほどの案が浮かび消えていった事でしょうか。 ふと、縁起物・・・・何かお祝いのときにする事ってなんだろう? 我々の頭に浮かんだものは「鏡割り」でした。 「いやー、もし酒樽を富士山に持っていったら、それは歴史に残る出来事かもしれない」「うーん、すごい出来事ですね!」 「やれればすごい!」 「頂上に近づいたら、みんなで樽を押しながら登って行くんだ!!」 「ドスコイ、ドスコイってね」 「あはははは!」 話が弾みます。しかし、この時冗談のように話していたこれは、まさしく冗談でした。誰一人そんな馬鹿げた事ができるとは思っていません。樽の重さは半端な重量ではありません。それを日本一の富士山に持って行くなんて、きっと常識ある人にとっては思いもよらない馬鹿な事でしょう。 しかし、この中で目が輝いていた人がいます。私と土井さんだけが中身の酒に魅入られたように真剣に考え始めていました。 「土井さん、酒樽ってどうやって買うのかな? 普通に売っているのかな?」 「いや〜、僕も知らないな」 「酒屋に聞いてみようか!?」 土井さんと私が動き始めます。他のスタッフは何も知りません。(冷汗) そしてついに私は酒樽が一般の酒屋で買える事を知りました。もう富士登山が一週間後に迫ってきた時です。私は酒屋の店主に相談をします。 「あの〜、樽酒ってどんな種類があるのでしょうか?」 「重さはどれくらいなのでしょうか?」 「大きさはどんなものですか?」 などいろいろ質問をします。なぜそんな事を聞くのかという顔をしているので、富士山に持って登る事を伝えます。そして思いっきり驚かれます。 販売されている樽の中で一斗樽が最小のものでした。一升瓶にして10本分。 何しろ日本一の山に持ってゆく樽です。私としては最小の物を選びたい。少しでも軽いものと考えます。重いものを持って行けば足手まといになり、皆に迷惑をかけてしまうかもしれません。基本的には私利私欲も混じった企画でしたので・・・・控えめに(笑)。 なのに私は中身の酒につられて、もう一度皆に相談するということなしに酒樽を注文してしまいます(苦笑)。 さて、風さんに買った事を報告します。 樽を担いだ男たち 「???」 「例の富士山に持ってゆく話の樽ですよ!」 「えーっ、ほんとに買ったの???」 「はい!」 「あー、なんて事を!」 「そりゃ無理だよ、曽原君!!」 「絶対に持ってゆけないよ!」 「えっ、持って行けないのですか?」 「重さを考えてみたまえ、それを背負った人間は他に何も背負えないんだよ!」 「我々がそんなものを持ったら、ただでさえ重量オーバー気味なのに、それこそ完全に すべての重量計算の計画がパーになる!!」 「ええ、確かに・・・・、言われて見ればそのとおりです(しょげ気味)」 「曽原君、考え直してほしい」 そんなやり取りが続きます。確かに冷静に考え直せばこの計画は無謀でした。しかしその後、数日考えても、何としても皆の記憶に残る何かを、世界一の還暦祝いをしたい! この思いは消えることなく私の中でくすぶっていました。 そして再度、風さんに相談してみました。 「曽原君、私はどうしても持ってゆきたいというのならもう止めない」 「ただし覚悟してほしい。持って行けば君は地獄を見る事になるよ!」 「アドバイスとしては自分の私物は最小限にして、ほとんど持ってこない!」 等のアドバイスを受け、最後に 「では、持ってゆくか行かないかは自分で決めます。当日結果はわかりますね」 まあ、風さんも私の決心はわかっていたと思いますがね(苦笑)。 樽かつぎ 「なんだ、そんなに大きくないな」 持った瞬間に 「これくらいなら大丈夫かな?」 でした。 出発の朝、実際に酒樽を背負子にくくりつけて立ち上がろうとした瞬間、風さんの忠告の意味を理解しました。肩にずっしり!! その上、何しろ丸いものなので、背中にその部分があたって痛い。極めつけは、立ち上がれない!! 「あれれ、立てないぞ??」 「わっー、何て重い!」 しかし、もう後には引けません。何としても背負って持って行かねばならない! ここでくじけるわけにゆかない!! そう自分に言い聞かせますが内心あせってきました。何しろ平坦なところではまったく立ち上がれないのです。まるでひっくり返った亀のような格好です。強引に担いだ瞬間、ドスン! と酒樽は背負子からころげ落ちてしまいました。 「あちゃー!?」 再び慎重に背負子に縛りつけます。そしてとうとう担ぎました。 しかし、そうなると今度はやたらと下ろせません。背負うまでにかなりの時間を費やした後、集合場所に向かいます。電車の中でも担ぎっぱなしです。立っているだけで汗が出てきます。 もう品川駅に着こうという時、なんと無情にも目の前をみんなが乗っている快速が通りすぎてゆきます。背負うために時間がかかりすぎていたのです。 うめー!! どうするか? これは新幹線で追いかけるしかありません。しかし、東京駅で樽を背負って歩く 私に好奇心の目が向けられます。私はそそくさと通りすぎてゆくのに、なぜかみんな振り返ります。 「あれって、中身入っているのかな?」 「いいや、きっと空っぽだよ!」 などとヒソヒソ声が聞こえます。 集合場所で再会したときの皆の顔を忘れません。私はいたずらっこになった気分でした。そして佐藤さんのあきれた顔・・・・。 皆さん、私の私利私欲をあたたかく見守っていただきありがとうございました。みんなの協力がなければ実現しなかった企画です。この場を借りてお礼申し上げます。そしてみんなの富士山頂での笑顔、一生忘れません! 鏡割り・全員の胴上げ・唄って踊っての御祝い! 日本一高いところで飲んだ日本酒の味。 酒樽プロジェクトは成功いたしました。そして、ふふ、私の頭には新たなる計画が浮かびつつあります。 その時は皆さんまたよろしくお願いいたします。 【曽原正俊】
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